8月25日(金)~26日(土)、中央アルプスの空木岳(2864m)に登りましたぁ。

辿ったコース:
8月25日早朝、駒ケ根の菅の台駐車場に車を停め、そこからタクシーで三本木地蔵まで行き、三本木地蔵登山口からスタート。(林道終点まで道路が開通したのは翌日でした。)
三本木地蔵→林道終点→池山尾根→駒石→駒峰ヒュッテ(荷物を置く)→山頂→駒峰ヒュッテで一泊。
26日、駒峰ヒュッテ→空木岳避難小屋→池山尾根→林道終点→菅の台駐車場。

8月25日(金)曇り時々晴れ。
しかし。。。実際は、登山の途中までは曇り、次第に小雨がぱらつき、風が断続的に強く吹き、駒峰ヒュッテの少し手前から本格的に雨が降ってきました。

早朝(6:20am頃)に三本木地蔵登山口を出発。
(ここに狭い駐車場がありますが、すぐに満杯になると言われていたので菅の台に停めましたが、その時、車は2台しか停めておらず、まだ十分なスペースがありました。私たちもタクシーではなく車でここまで車で来れば良かったと後悔。)
登山道を20分くらい登ると林道終点の広い駐車場に出合い、その後、自然林が多い樹林帯の中をジグザグに登って行きました。樹林帯はそれほど密集しておらず日光が当たりやすいためほどよい明るさがある登山道がずっと続きました。きれいな樹林帯でした。
三本木地蔵登山口を出発して2時間20分後に池山小屋分岐に到着。
ここに水場とベンチがあります。池山小屋は水場からすぐのところにあります。私たちは水場で一休み。後から2、3人の登山者が水場に到着。この後も樹林帯の登山道がしばらく続きます。

9:20amころにマセナギという場所を通過し、その後、40分ほど登ると痩せ尾根に到着しました。
痩せ尾根の入り口に白い看板が設置されており、ここからは滑落者が多いため注意が必要と注意喚起していました。
時たま小雨がぱらつきましたのでここからしばらくの間は特に足元に注意して進みました。
途中に大地獄、小地獄の岩場、鎖場があります。特に最後の鎖場の岩の斜面は滑りやすく雨の日は大変です。無事に大地獄、小地獄の痩せ尾根を通過後に、一休みしてお弁当を食べ、その間、雨がぱらついてきましたのでカッパを着ました。痩せ尾根通過後でよかったと思いました。
ヨナ沢ノ頭を経て12:40amに(駒石と空木岳避難小屋の)分岐に到着。私たちのすぐ前には数人の登山者が駒石経由で登って行きました。私たちも駒石経由にしました。
ここから次第に森林限界となり、美しい景色を楽むことができました。小雨がぱらついていましたが、雲が切れた時に周辺の山々が見えました。
山の上の駒石は巨大で遠くからでも良く分かりました。一旦、駒石まで登り、その後、とんがり岩のあるピークを越えると前方に駒峰ヒュッテが見え、その奥に空木岳山頂が見えました。
空木岳も3000m級の百名山ですからやはりとても美しくて雄大な山です。天気が良ければさぞかし素晴らしい景色を堪能できたのではないかと思いました。この稜線は風がありましたが、雨は小降りでしたから助かりました。ただ、荷物が重く、駒峰ヒュッテ手前の斜面を登っている時は脚がかなり重たく感じました。

2:10pmに山頂手前の駒峰ヒュッテに到着。
ヒュッテの中は大混雑!一旦、中に入り荷物だけ置かせてもらいすぐに山頂へ向かいました。
13分で山頂に到達しましたが、雨のため展望は殆どなし。ヒュッテの方角だけは見えていました。天気が良ければ素晴らしいパノラマビューを楽しめたのに残念。
山頂では私たち以外に韓国人登山者が2人いましたが、彼らも私たちと同様に写真を撮るとすぐにヒュッテまで下山しました。
ヒュッテは大賑わいでした。ここは素泊まり専用です。カップラーメンや飲み物は売っていますが、食料は持参します。小さな2階建ての小屋ですが夏の間は賑わっているようです。
この日は10人くらいの団体客が3組も到着していました。(その他に私たちのような個人の登山者が何人も到着。)そのうちの1組が韓国からの団体客でした。
私たちのように池山尾根経由で空木岳をピストンする登山者よりも、木曽駒ケ岳から縦走する登山者の方が多いようです。韓国人の団体客も縦走の途中でした。
ヒュッテの中は到着したばかりの登山者で大混雑。
部屋の入口では、明るく元気なシニアの女性(以下お姉さん)が到着したばかりの登山者に対応。親切にも、濡れたザックカバーとカッパをタオルで拭いてくれていました。このヒュッテはシニアのスタッフが2人いるようでした。(地元の山岳クラブのメンバーが交代で管理しています。)
お姉さんは登山者に対して、カッパはそこに掛けてとか、これはここに干しておきますねとか、トイレに行く時はその傘を使ってとか、入り口のドア(非常に重たい)はきちんと閉めてとか、次々に到着する登山者にうまく対応してくれていました。
韓国人の団体客が到着したときには片言の英語で話しかけていましたが、彼らは殆ど英語が話せず、後から来た韓国人ガイドに「自分は日本語と韓国語しか喋れない」と言われたり、それでも冗談を言いながら明るくテキパキと対応。
また夕方5時ごろに、80歳の男性が疲労困憊でやっと到着した時にも、「こちらの方は80歳です。すごいですね。私は70歳で団塊の世代。まだまだ若くて元気ですよ。」などとおしゃべり好き。登山者からは姉さんと呼ばれて頼られていました。
受付ではシニアの男性(管理人の1人)が対応しており、登山者の受け付け、水や食べ物の販売、そして更衣室を案内してくれました。私たちも受け付けをすませ、ボトル水を何本か買い(水場がない)、受付横の簡易更衣室を使わせてもらいました。
1階も2階も大混雑でしたが、お姉さんの効率的な指示のおかげで混乱することもなく、みな指定された場所に落ち着き、テーブルを囲んで(和やかな雰囲気で)夕ご飯の準備をすることができました。
5時になると、登山者は其々のテーブルを囲んで楽しく食事をとり。。。6時にはテーブルを片付け寝床を作りました。2階も1階も満員御礼でした。この日の宿泊客は45人。1階も2階も床一面に寝床が敷かれました。通常は2階が寝室だそうです。
登山者はマットとシュラフを持参するか、シュラフを有料で借りることができます。繁忙期には60人が宿泊するそうです。もうすし詰めです。。。

私たちは1階で寝ることに。隣の3人組の方々と雑談をしました。前回登った尾瀬の至仏山、燧ヶ岳、見晴新道の恐ろしさ、尾瀬沼の美しい景色を話したところ、3人のうちの1人(男性)が、私たちが辿ったコースを必ず辿りますと言っていました。尾瀬ヶ原、尾瀬の山々、尾瀬沼は一生に一度は行く価値がある非常に美しい場所です。(見晴新道は除く。)

夜間、(山頂付近なので)台風のような強風が吹き始め、小屋(ヒュッテ)が揺れ、断続的に豪雨が襲い、風と雨の音がやかましく。。。外のトイレまでどうやって行こうかと考えたり。。。中々眠れませんでした。
断続的に雨が小降りになった時を見計らってトイレに行くと、外は霧で真っ白。ヘッドランプを付けても何も見えません。トイレに行くのも手探り状態でした。山頂付近の山小屋はこのように激しい天候に見舞われることが多いと思います。

8月26日(土)雨のち曇り
・・・どのくらい経ったでしょうか。。。次第に風雨が止み、(いびきの合唱以外は)静かになると、知らぬ間に眠ったようでしたが。。。アッと言う間に午前4時。
1階は一斉に起床。その15分後には、ヒュッテの管理人の男性に、「寝床を片付けてください、朝食用にテーブルを置きますから。」と言われ、慌てて荷造りをし。。。登山者が其々のテーブルを設置し朝食の準備を始めました。私は食欲がなかったため、プロテインの飲み物を飲むだけにしました。
外は霧で真っ白、殆ど何も見えません。この日の天気は、午前中は雨、午後は晴れるとのことでした。前日に登頂してよかったと思いました。この日の朝に登頂する人は「命がけ」です。山頂は強風と大雨だったようです。(この日、木曽駒ケ岳まで縦走する予定だった3人組は諦めて池山尾根を下山することにしました。)

朝食後、お姉さんが、「ボトル(水)を一本受付に置き忘れた方がいます。誰も名乗りでなければ私が頂いちゃいますよ。」と。。。ただ前日の元気な姿とは違いちょっと眠たそうでしたが。。。

・・・後で知ったのですが、このお姉さん、実はヒュッテを管理している山岳会のメンバーではなかったのです。
木曽駒ケ岳から縦走をして駒峰ヒュッテに25日午前10時ごろに到着してしまい、時間が余っていたので勝手に手伝っていたそうです。管理人の方よりもテキパキと誘導していたのでてっきり管理人の1 人かと思っていました。このお姉さんは、他の登山者が登山道の話しをしている横でメモ帳にその情報を書き込んでいたそうです。熱心な登山者でした・・・
(山の上では面白い方にたくさん出逢います。毎回、どんな人に出逢えるかということも登山の楽しみの一つなのです。)

前日、疲労困憊してやっとヒュッテに辿りついた80歳の男性の状態が気になりましたが、私たちは5:25amにヒュッテを出発し、避難小屋経由で下山開始しました。その頃には真っ白い霧から小雨に変わっていました。
40分ほどガレ場の斜面を下ると、霧の中にひっそりと佇む空木岳避難小屋に到着しました。いかにも。。。出そうな雰囲気でした。この中で一休みをして朝食のパンを食べようと、入口のドアを開けると、奥の方にシュラフの中でさなぎのように寝ていた男性(シニア4名)がこちらを向きました。突然、ドアを開けて目を覚まさせてしまったことを謝り、中に入りました。中はきれいでしたが、少しヒヤッとしました。冬の間、この避難小屋に避難しても凍え死ぬこと間違いなしです。
その直後に突然豪雨が。。危機一髪でした。びしょぬれになる前に小屋に到着できラッキーでした。雨宿りをしている間、4人の男性と雑談をしながら過ごしましった。その内の3人は友人同士。もう1人の方は山口県から車で来ているそうです。これまでに車で日本中を走り、全国の百名山を登ってきたそうです。空木岳は最後に残った百名山の1つだそうです。残りは空木岳以外に南アルプスの悪沢岳、赤石岳、聖岳、光岳だけだそうです。山の上ではこのような熱心な登山者によく出逢います。
他の3人の方は地元の方と大阪の方です。この日は悪天候のため空木岳山頂へ行くかどうかについては雨が止んだら判断するとのんびりと構えていました。雑談の途中で、この避難小屋では幽霊が出るとの噂があると話しましたら、彼らのそのことを知っていたようで、「昨夜もパチッという音がしたり、ドアとトントンたたく音がした。」と言っていました。別に気にしている様子もなく、ちょっと寒かったがぐっすり眠れたそうです。たぶん風雨のせいだろうとも言っていましたが、この避難小屋では何人も死んでいるとも言っていました。昨年3月にも、男性が1人、ここで死んでいたそうです。3月ではまだ雪山です。非常に寒かったことでしょう。ここは電話も通じませんし、登山者も非常に少ないため発見が遅かったようです。「幽霊が出ると勘違いする人がいるのだろう。」とか「ひょっとしたら、幽霊かなあ。」などと一向に気にしている様子もなく。。。そんな時に、ドアがトントンとなりました。風でドアが叩かれたのかもしれませんが、この避難小屋のドアはとてもリズミカルに音を出すものです。

そんなことを話しているとアッと言う間に1時間が経ち。。。トントンと幽霊が叩いたであろうドアを開けて外を見ると雨は殆ど止み、霧のような状態になっていました。私たちは先を急いでいたので、4人の男性に別れを告げ、下山開始しました。
途中、断続的に雨が降ってきましたが、痩せ尾根に到着したころには止んでいました。小地獄、大地獄の岩が少し滑りやすかったのですが、無事に通過。痩せ尾根を通過後、雲が切れ弱い日射しが差してきました。ほっとしました。痩せ尾根の後は歩きやすい樹林帯の道が続きます。
8:30am頃に池山小屋近くの水場に到着。そこで休憩中に、ヒュッテで隣で寝ていた3人組に出逢いました。彼らは、空木岳山頂へ登ったが、あまりの悪天候のため、木曽駒ヶ岳への縦走を諦め、池山小屋まで下山しそこで1時間休憩していたそうです。
この日、下山中にすれ違った登山者はほんの数人。その内の2人はトレールランナーで軽装。大丈夫だったのでしょうか。。
前日もそうですが、池山尾根で出逢った登山者は数人程度でした。。団体で登ってくる場合もありますが。
徐々に蒸し暑さを感じながら、樹林帯を順調に下山し12:40pmに菅の台の空木岳登山口(スキー場横)に到着しました。
山の上は悪天候でしたが下界は晴れていました。
無事に空木岳に登頂できて大満足でした!山に感謝です。

(写真は次ページへUP致します。)