富士山は眺めるのが一番の山と思っていたため(わが街から富士山が良く見えますし)他の山は登っても富士山は「いいです」と思っていたのですが、日本人なら一度は登るべきと思い混雑を避けてお盆後の平日登山を計画しました。しかし天気は中々回復せず。。。
最近の夏の天候は変わりやすく雨が多いため高山に登る機会を作るのが難しくなりました。
梅雨が終った後の晴天の日以外は☼マークの日が少なく(天気予報は毎日変化。)山の上は雲がわきやすくなっています。
昨年の今頃も間ノ岳と北岳を登頂したかったのですが悪天候で山小屋までしか登れませんでした。
そのような苦い体験をすぐに忘れてしまう私たちは天気がイマイチなのに富士山に登ることにしたのでした。
当初、私たちは富士宮ルートから登ることを計画していましたが、29日と30日は丁度、大阪のツアー会社が1000人の団体客を引き連れて登山することになっていたため、登山道は数珠繋ぎになりますし、このルートの全山小屋が貸し切り状態だったことを知りました。一応、九合目の山小屋に宿泊予約ができたのですが団体客でかなり混雑すると言わたためそこをキャンセルし富士吉田ルートを登ることにしました。山小屋を全て貸し切りにしてまで一度に1000人の登山者を同日に登らせるのはどうかと思いますが。。。やはり富士山は観光地化してしまっているのですね。
8月30日(金)、有料駐車場(1回1000円)からシャトルバス(往復2000円、平日でも満杯)で5合目(富士吉田口)まで行き、午前10時頃に5合目を出発。
(五合目には大勢の外国人観光客が来ていました。)
この日は風は強かったのですが天気は比較的良く安心しました。比較的多くの登山者が富士吉田ルートを登っていきました。
6号目に案内所があり係員が登山者から入山料の1000円を徴収していました。私たちも快くお支払いしました。
サンダルで歩けるのもせいぜい6合目までと思います。
富士登山に関するテレビの報道では、サンダル履き、Tシャツ、短パンで気軽に登山しようとしている外国人観光客について面白おかしく取り上げていますが、あれは事実ではないと思います。当日見た限りでは、そのような軽装の観光客は6合目手前?まで散策した後に引き返していきます。
さすがに登頂を目指すような外国人登山者はある程度の装備をしています。ただ、日本人登山者のようにゴアテックスなどの登山用雨具を持参したり登山靴を履いている人は少なかったようです。。彼等の多くが雨の日に自転車に乗る時に着る白い半透明のビニールのカッパ或はポンチョ風のカッパを持参していました。日本人登山者の中にも何人かいましたが。。。
7合目からは山小屋が立ち並んでいますが、7合目手前から8合目までは岩場の急登が続きますので岩場を登ったことのない登山客は引き返しています。
あるヨーロッパ人のカップルは7合目の山小屋まで到達しましたが、その後も岩場の急登が続くのを知り下山したようです。
7合目の山小屋に宿泊するために3歳くらいの娘さんを連れて登ってきた女性がいましたが、下山中に再びその親子を見かけました。かわいそうに女の子は雨に濡れながら歩きたくないと泣いていました。何とかお母さんがその子をなだめて歩かせていましたが、富士山は幼児にはちょっときついと思います。
各合目の山小屋の前の通路は登山道の一部となっており、ベンチが一列に置いてあります。登山者は、下界の河口湖や山中湖を眺めながらベンチに座って休憩できます。何人もの登山者がベンチで休憩していました。ただし屋根がないので雨の日はびしょ濡れです。。
私たちも他の登山者と同じように7合目の山小屋の外のベンチに座って休憩しましたが、隣に座っていたアジア系の男性に話しかけたところ、彼は香港から2度目の富士山登山に来たと言っていました。香港の現状について私たち日本人の多くが香港の人々を応援しており、中国の今後の出方を心配していることを伝えると、とても喜んでくれました。香港の空港はちゃんと機能しているそうです。彼や香港の人々の無事を祈ります。
ベンチでおにぎりを食べた後、予約していた8合手前の山小屋まで続く岩場を登っていきました。
5合目を出発してから約3時間20分で宿泊場所に到着しました。この小屋も登山者で賑わっていました。
ただし、満室にはならず私たちは3人の敷布団を2人でシェアすることができました。また、敷布団の両脇はカーテンで仕切られていたので良かったです。
富士山の山小屋の夕食は早く、午後4時でした。そして午後5時には多くの登山者が寝始まっていたのです。私たちも同じように早寝をしましたが、眠れるわけもなく。。。私は殆ど眠れませんでした。外は徐々に強風が吹き始めていたことがわかりました。
翌朝(午前3時に起床)、外を見ると霧と強風、その後横殴りの雨、突風という恐ろしい天候に変わっていました。受付の方から、山頂(火口)付近は風速28mの強風と雨で、本八合目以上は登山禁止となっていることを知らされました。今回もがっかりです。
しかし山小屋から下山するにも同じ道を引き返すことはできません。上りのルートは急な岩場の斜面がありますから下山には適しません。富士山は上りと下りのルートに分れています。下山するには8合目まで上ってから下りの分岐に出て、ブルドーザーが通るジグザグの長~~い下山道を下って行く必要があります。
仕方なく、私たちも8合目の下山道との分岐(標高約3270mまで)まで上っていき、その後、下山道を下ることにしました。多くの登山者がご来光を観に本8合目まで登っていきましたが、厚い雲に覆われた空では朝陽もボヤっとしか見えないだろうと思い、私たちは本8合目(標高3370m)へ登るのはやめました。
まだ午前4時前でしたので辺りは真っ暗。小さなヘッドランプの灯りを頼りにゆっくりと進みました。霧や横殴りの雨で眼鏡が濡れてしまいあたりが見えにくくなってしまいました。だから雨の日の登山は苦手なのです!
足元に注意しながら岩場と階段状の登山道を恐る恐る登っていきました。ちょっと怖かったですが、登山道には多くの登山者がいましたので心細く感じることはありませんでした。
私たちのように暗闇の中、雨と強風でよろよろしながら登山道を進んでいく国内外の登山者がいかに多かったことか。
登っている途中に、空に浮かんでいるボヤっとした朝陽が見えてきました。あたりが徐々に明るくなり一安心!
8合目の小屋を通過し、下山の分岐に到達したころには大分明るくなりましたが、霧から横殴りの雨に変わり、突風も吹き、ゴアテックスのカッパを着ても下着まで雨がしみてきました。登山靴の中も雨がしみてきてソックスはぐしょぐしょ。手袋もびしょ濡れ。眼鏡もワイパーが欲しいくらい。
数年前の4月に屋久島の宮之浦岳に登ったときも、豪雨で下着までびしょ濡れになりましたが、気温が高かったので寒さは感じませんでしたが、さすがに富士山でびしょ濡れになると羽毛のジャンパーを着ていても寒く感じます。
風邪をひきたくなかったため速足でブルドーザーのジグザグ下山道を下っていきましたが、これが長いのです。何回ターンしても6合目に到達しないのです。多くの登山者が急ぎ足で下っていきましたが、6合目は遠かったです。案内所のある6合目に到達したときはほっとしました。
5合目まで戻っていく間に、上へ登っていく登山者たちとすれ違いました。こんな雨の日でも登っていく登山者が何人もいたのには驚きました。翌日(今日)も悪天候で登頂できないと思います。5合目から登山禁止になる日もあるそうです。
帰りのシャトルバスも満杯でした。私の隣(これほど込むとは思いませんでした)には外国人登山者が座りましたが、彼女は横須賀の海軍基地に海軍の弁護士として2ヵ月前に日本にやって来たそうです。横須賀は彼女の希望だったそうです。日本の自然はとても美しいのでこれからも登山をしたいと言っていました。今回は海軍の将校さんたちとレンタカーで富士吉田までやってきて富士山を登ったのですがあいにくの天気でした。
下山中は雨と風の攻撃に遭い、写真を撮る余裕もありませんでした。今回の登山の写真は29日に撮った山小屋までの数枚の写真のみです。
富士山の山小屋について:
富士吉田ルートも、登山道沿いの各合目に山小屋が立ち並んでいます。
どの山小屋も料金、サービス、ルールは同じような感じです。多分、吉田ルートの山小屋同士で取り決めがなされているのかもしれません。
あくまでも私個人の感想ですが・・・
全体的に、富士山の山小屋では、食事(夕食、朝食)が、他の高山(例:3000m級のアルプスの山)の山小屋の食事に比べ、量が少なくおかずの種類が少ないかカレー以外ありません。
他の高山の山小屋の食事(平均的に)は、材料は歩荷さんや山小屋の主人が自ら背負って運んだり、ヘリを使って運んでもらったりしていますが、腹ペコ登山者を気遣って、みそ汁とご飯はおかわり自由。おかずもレトルトであっても複数種類あり、肉類或は魚類そして野菜も少し添えてあります。おかわり自由の豚汁を提供するところもあります。ただ、他の高山の山小屋に比べ富士山の山小屋が宿泊費が安いので仕方ないのかもしれません。
富士山の山小屋にはブルドーザーで食事の材料、その他を運んでもらっており、これも大変な手間だと思いますが、富士山は観光地化しており、夏季だけの営業でも国内外から非常に多くの登山者が押し寄せます。
ですから、宿泊費を1泊2食付き8500円ではなく9500円~1万円に値上げし、もう少しおかずの量や種類を増やし、おかわり自由のみそ汁とご飯を提供していただければよいなあと思いました。
何しろ、登山者は腹ペコですし山小屋の食事が一番の楽しみなのですから。ただし、宿泊者は、他の山の山小屋と同じように、トイレ使用料は取らず、ボトル水ももう少し安くしていただきたいです。幼児が食べるくらいの量しかないのです。他におかずが少しだけついていますが、ご飯の量もおかずも足りません。富士山では他の山小屋も同じような感じだと思いますが。。。
富士山の山小屋は登山者に厳しい感じがします。
山小屋のスタッフさんの対応があまりフレンドリーではなく、小屋を利用しない登山者はちょっと冷たくあしらわれます。危険な山に登っているのですからもう少し親切にしてくれても。。。と思いました。
トイレには、ここで休憩したら5万円の罰金などと張り紙が貼られていましたが、昨日のように強風と横殴りの雨の中でびしょ濡れになった登山者はトイレでちょっと休憩したくなります。外のベンチに屋根があったならそこで一休みできるのですが。。。
ある山小屋(富士宮ルート)ではトイレに番人がいて夜通し見張っているそうです。お金を払わずにトイレを利用したりトイレの中で寝ていたりしているからでしょうか。まあ、マナーの悪い登山者もいるのかもしれませんが。この2日間で私たちはマナーの悪い登山者には一人も遭遇しませんでした。皆さんとても良い感じでした。
また、山小屋の外のベンチで一晩明かす若者たちがいるのです。
これには驚きました。他の高山ではありえない光景です。
8月29日から30日の午前3時ごろまでは霧や雨が降っていませんでしたから、このようなことができたのでしょうけど。。。雨だったら悲惨です。
彼らはお金の節約と山頂でご来光を拝むために午前2時に出発しようとベンチで時間稼ぎしていたのでしょう。私たちが泊まった山小屋の標高は3100mくらいですから夜間の外はかなり寒いです。風邪をひかなければよいなあと思いました。
また、夜遅くにトイレに行ったときに目撃したのですが、山小屋の玄関を上がったところのスペースに10名くらいの登山者が座って休憩をしていました。多分、休憩料を払って、午前2時頃までここで休憩させてもらっていたのだと思います。富士山の山小屋では受け付けのスタッフが夜通し待機しています。夜中に出発する登山者が多いからだと思います。このような光景は他の高山ではありえません。本当に。。。富士山は特殊なところです。
部屋では多くの宿泊客が夕方5時から寝始めていました。何しろ、夕食が夕方4時ですから。他の山の山小屋では消灯時間は平均で夜8時です。
私たちも6時ごろには寝始めたのですが、もちろん私はその夜は眠れませんでした。
各山小屋には、バイオ式トイレ(清潔に保たれています)が外に併設されており、通行人の登山者は200円を払って使うことになります。他の山ではせいぜい100円ですが、富士山はちょっと高いですね。
また、富士山では宿泊者もトイレ使用料として毎回100円払いますし、ボトル水(500ℓ)も1本500円します。他の山では宿泊者は水は無料或はボトル水を買うにしてももう少し安いですね。水場がある山小屋では宿泊しない登山者も無料で飲めますが。。。
ということで、8合目までの登山で終わってしまった今回の富士登山ですが、ニュースで報道されているような、はちゃめちゃな恰好をした外国人登山者はいませんでしたし数珠繋ぎの登山道ではありませんでした。
今後、お盆明けに快晴の日が2日続くようなラッキーな時があるなら。。。もう一度、富士宮ルートから富士山を登頂したいなとは思います。ただ、毎年、天候の不順度が悪化していますから期待は持てませんが。。。
将来的に富士山に登りたいなと思っている方へ、
晴れ或は晴れ時々曇り(風は弱い)の日が2日続くときのみ富士登山をお勧めします。曇りや一時雨の予報なら登らない方が身のためです!!
長たらしい登山日記を読んでいただきまして有難うございました。少しでもご参考になれば幸いです。
登山中に撮った写真:
(5合目から見た空模様x2→5合目を出発→最初はなだらかな道→登山道から見る山中湖(たぶん)→7合目へ向かう→7合目手前の登山道→8合目手前の山小屋へ向かうx2)








